paraiso

0点の自分で甘えたい

平日休み

少し前平日が休みになった。

これまで販売員として仕事をしてきた時間が長く、平日が休日となることが大半だった。当時は世間の休日、つまり暦通りの休日が堪らなく貴重で全く知らない人達と同じ時間を過ごしているような、普通の一部になっているようで嬉しくも感じていた。

でも今はその逆で暦通りの休日へとシフトし、平日休みが堪らなく恋しい。当たり前だったことが、今は貴重になり浮き足だっていた。

 

この日特に予定もなく何をしようかと考えていた時に、あーあの化粧品そろそろきらせてしまいそうだったなぁと思い出した。時間はめちゃくちゃあるし、電車に乗ってだらだら向かおう。そんなことを思いながら家を出た。

電車に乗り込んだ。平日昼間のJRは人が少なく、目一杯の日差しが降り注ぐ。それが好きだ。だいたいの人はその日差しを鬱陶しがり、日除けをガラッと引く。その鬱陶しい眩しさと、少しの暖かさが好き。

 

気づけば目的地に着いていた。でも座席から立ち上がる気配がない。まだ電車に揺られていたい。なんて思っていた矢先ドアは閉まり次の駅へと向かい始めた。

どこかで降りて引き返そうか、と考えた。が、瞬間で、いやこのまま乗っていればまたこ駅に着くし一周してやろう。と思い降りることをやめた。

結局一周し、またその駅に戻ってきた。さすがに降りた。改札を抜けようとしたが、まだあの日差しの暖かさと静かな車内でイヤホンをつけて音楽を聴き揺られていたいと思い、違う線の電車に乗り込んだ。

 

電車はまた動き始めた。この線には乗ったことすらない。まずこの線には用がないからだ。進めば進むほど都会の喧騒はなくなり、住宅地が広がり、最後には住宅すらなくなった。

停車駅から乗ってくる人の雰囲気もだんだん違ってくる。それをただずっと見ていた。

忙しくパソコンを広げる営業マン、部活帰りらしき男子高校生、百貨店のショッパーを持ち旦那の悪口を言う中年女性二人組。

知らない人達を見ると、この人たちは家でリラックスしている時どんな感じになるのだろうと自然と考えていることが多い。今日もそんなことを考えていた。

 

そんなことを考えていたら相当電車は進んでいて、さすがに降りた。そしてまた引き返した。

そろそろ目的地で買い物をした。滞在時間15分。

電車での旅は2時間半。

今日の目的は何だったか?思い返した。

化粧品を買いに行くこと。

しかしほぼ電車に乗っていた。電車が好きだ。鉄子ではない。でも乗り鉄ってやつなのだろうか。

自分が住んでいる街からだんだん離れて行く、そして知らない土地に連れて行ってくれている気がして。

 

まぁ満員電車は何度乗っても好きにはなれないけど。